ヨロイグサはセリ科シシウド属の多年草であり,日本や中国,韓国,ロシア(シベリア東部)に分布し,山地の湿性草地,河岸,渓側,低木林内に生えます.7~8月に白色の花を咲かせますが,一つ一つの花は小さく,沢山の花が集まってセリ科特有の散形花序を形成します.果実は2つの分果がくっついている状態の双懸果(そうけんか)と呼ばれるもので,分果の縁には幅の広い翼がついています.茎は中空,直立して紫色を帯びることもあり,草丈は1~2.5 mに達します.また,葉は2~3回3出複葉で小葉には鋸歯があります.よく似た植物としてシシウドが挙げられますが,ヨロイグサの花序には数個の小総苞(花序の付け根にあるがく片のような形をしたもの)があるのに対しシシウドでは小総苞が無いか1~2個であることや,分果の横断面を観察した際にみられる油管(または油道:油状物質の分泌道のこと)の数がヨロイグサよりもシシウドで多いこと,小葉の形態の違いなどによって区別されます.また,それぞれの根を乾燥した際のにおいの違いも識別に有効であるなどともいわれています.
ヨロイグサ(鎧草)という和名の由来は葉の重なり具合が鎧に似ているためといわれています.また,種小名のdahuricaは「ダフリア(シベリアのバイカル湖~アムール川地域の古称)産の」という意味であり,これはヨロイグサがシベリアに自生することに由来すると思われます.また,散形花序はラテン語でumbellaと呼び,これが新エングラー分類体系でのセリ科の科名Umbelliferaeの由来となっています.ちなみに,umbellaには「傘(正確には日傘)」の意味があり,これが傘を意味する英語umbrellaの語源にもなっています.
ヨロイグサは根を薬用部位とし,10月ごろに,地上部が黄変して枯れ始めたら根を掘り上げて乾燥します.これを生薬「白芷(ビャクシ)」として使用します.白芷は漢方医学的には鎮静,鎮痛,排膿薬として風湿を散じる効があるとされ,頭痛,歯痛,副鼻腔炎等に応用します.漢方処方では清上防風湯や排膿湯などに配合されています.また,主要成分として種々のフロクマリン誘導体を含有し,そのなかでもビャクアンゲリコールやビャクアンゲリシンが多く含まれています.ヨロイグサと同じシシウド属に当帰の基原植物トウキ(A. acutiloba Kitagawa)がありますが,こちらはリグスチリド等のフタリド系化合物を多く含むなど主要成分が大きく異なり,漢方医学上での用途も異なります.
白芷の基原に関してはかつて混乱があり,中国ではヨロイグサの変種のカラビャクシ(A. dahurica var. pai-chi)が基原であるとされていましたが,現在ではヨロイグサとカラビャクシは同一種として定義されています.また,現在でも中国ではヨロイグサのほかにタイワンシシウド (A. dahurica var. formosana) が杭白芷として使用されます.このほか中国の一部地域ではハナウド属植物の根が白芷として用いられてきたようです.
ヨロイグサ(鎧草)という和名の由来は葉の重なり具合が鎧に似ているためといわれています.また,種小名のdahuricaは「ダフリア(シベリアのバイカル湖~アムール川地域の古称)産の」という意味であり,これはヨロイグサがシベリアに自生することに由来すると思われます.また,散形花序はラテン語でumbellaと呼び,これが新エングラー分類体系でのセリ科の科名Umbelliferaeの由来となっています.ちなみに,umbellaには「傘(正確には日傘)」の意味があり,これが傘を意味する英語umbrellaの語源にもなっています.
ヨロイグサは根を薬用部位とし,10月ごろに,地上部が黄変して枯れ始めたら根を掘り上げて乾燥します.これを生薬「白芷(ビャクシ)」として使用します.白芷は漢方医学的には鎮静,鎮痛,排膿薬として風湿を散じる効があるとされ,頭痛,歯痛,副鼻腔炎等に応用します.漢方処方では清上防風湯や排膿湯などに配合されています.また,主要成分として種々のフロクマリン誘導体を含有し,そのなかでもビャクアンゲリコールやビャクアンゲリシンが多く含まれています.ヨロイグサと同じシシウド属に当帰の基原植物トウキ(A. acutiloba Kitagawa)がありますが,こちらはリグスチリド等のフタリド系化合物を多く含むなど主要成分が大きく異なり,漢方医学上での用途も異なります.
白芷の基原に関してはかつて混乱があり,中国ではヨロイグサの変種のカラビャクシ(A. dahurica var. pai-chi)が基原であるとされていましたが,現在ではヨロイグサとカラビャクシは同一種として定義されています.また,現在でも中国ではヨロイグサのほかにタイワンシシウド (A. dahurica var. formosana) が杭白芷として使用されます.このほか中国の一部地域ではハナウド属植物の根が白芷として用いられてきたようです.
(伊藤ほのか、磯田 進)
注)薬用成分が含まれていますので,利用に関しては必ず専門家にご相談下さい。また,利用により,万一,体調が悪くなられた場合は医師にご相談下さい


