menu

生薬の花

シマカンギク
Chrysanthemum indicum L. (キク科)

シマカンギク(<i>C. indicum</i>) 花

シマカンギク(C. indicum) 花

生薬 キクカ

生薬 キクカ

キク (<i>C. morifolium</i>) 花1

キク (C. morifolium) 花1

キク (<i>C. morifolium</i>) 花2

キク (C. morifolium) 花2

 今月は、日本で馴染みの深いキク科の花についてご紹介です。シマカンギクは、本州、四国、九州、中国や台湾にも自生している多年草です。草丈は30〜60 cmで、茎は細く根茎は横走します。葉は、長さ3〜5 cmで裏は絨毛が生えていて、互生し、卵円形か長円状卵形で、羽状に深い切込みがあります。花は黄色く、一見1つに見えますが、よく見ると外側にある舌状花と中央にある筒状花の2種類からなり、秋〜初冬に咲き2.5 cmほどの大きさになります。まれに、白い花が咲くこともあります。花を油に漬け薬用とすることから、別名でアブラギク(油菊)とも呼ばれます。学名のChrysanthemumは、ギリシャ語のクリューソス=「金、黄金」+アントス=「花」という意味が由来になっています。
 全草を採取し、日干しにしたものをヤギク(野菊)、頭花を秋の盛花期に採取し乾燥したものをキクカ(菊花)といいます。日本薬局方では、キクC. morifoliumもキクカの基原植物として規定されています。苦味が少なくなるよう品種改良されたC. morifoliumは食用菊としても利用され、また、お刺身の横に添えられているのよく見かけます。生薬キクカは軽く、もろく、特有のにおいがあり、わずかに苦みがあります。全草にはフラボノイドのアカシイン、ルテオリン、クリサンテミンの他、精油成分のカンフェン、カンファールなどが含まれています。神農本草経の上品に収載され、味は「苦、平」で、薬効は、「風邪を除き、清熱す」とあり、頭痛、めまい、目の充血などに使います。高血圧治療に使われる漢方処方の釣藤散に構成生薬として、配合されています。民間では、薬酒やお茶としても利用されています。
(小池佑果、栗本慎一郎、川添和義、磯田 進)
 
注)体質によってはアレルギーなどを起こす場合があります。使用によって、万一、体調が悪くなった場合には医師にご相談ください。

[参考図書]

・ 三橋 博 監修、岡田 稔 編、「原色牧野和漢薬草大圖鑑」、北隆館
・ 牧野 富太郎 (著)、「原色牧野植物大圖鑑 離弁花・単子葉植物編」、北隆館
・ 学習研究社、「漢方実用大事典」、学習研究社
・ 朝日新聞社、「朝日百科植物の世界 第1巻」、朝日新聞社出版局