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本学会より推薦の山田科学振興財団「2024年度研究援助」採択者について

2024/08/19

本学会推薦の山田科学振興財団「2024年度研究援助」に1名が採択されました。
 
 2024年8月9日、自然科学の基礎研究を助成振興し、我が国の科学研究の向上発展と人類の福祉に寄与することを目的とした、独創的な基礎研究が自然科学の幅広い分野で遂行されることと、各研究分野相互の対話・交流が促進されている、基礎研究(物理、化学、生物・医学)で萌芽的・独創的な研究を対象に採択される、山田科学振興財団2024年度研究援助に、本学会から推薦した1名が受賞しました。
 
 「天然物主導型電位依存性ナトリウムチャネル制御因子の創製」
 長友 優典(北海道大学大学院薬学研究院・教授)
 
生命現象の根幹をなすイオンチャネルの機能不全は、多くの疾患を引き起こす。そのため、チャネルに作用する医薬品の合理的な開発は、現代科学における緊急課題である。酸素や窒素などの極性官能基が稠密に置換した天然物は、一般的な医薬品や天然物では実現不可能な、チャネルの高選択的阻害・活性化を可能にする。我々は、グアニジンアルカロイドである神経毒ゼテキトキシンAB(ZTX)の全合成からはじまる新たなチャネルの機能解析・制御法開発を目的とした。ZTXは、電位依存性ナトリウムチャネル(NaVCh)を強力に阻害する。まず、独自のイソキサゾリジン合成法を基盤として、世界初のZTXの全合成を効率的に達成する。確立した合成経路を創造的に応用し、人工ZTX類縁体を設計し、合成する。合成分子群の活性評価により、NaVChの9つのサブタイプ別の阻害・活性化に必要な構造要件を明らかにし、天然物を凌駕する高活性・高サブタイプ選択性を有する人工類縁体を創製する。本研究は、革新的な医薬品の開発、チャネルの構造と機能の一般原理の解明や、サブタイプの機能差と神経の高次機能との関連の解明に資する。

【山田科学振興財団】
2024年度研究援助 採択者