沖縄から台湾、中国南部にかけて分布するつる性の植物で、園芸用に栽培されるテッセンやクレマチスの仲間です。他の木などに巻きついて10 m近くになります。細長い卵形(狭卵形)の小葉からなる羽状複葉が対生し、葉の表面には薄い毛があります。初夏に白い花を密集してつけますが、花弁に見えるのは萼片で、花弁はありません。その後、毛の生えた尾のようなものを付けた種を風車のように付けます。地下部には短い根茎と数多く分枝した細い根があります。アネモニン、プロトアネモニンなどの有機酸誘導体が含まれていて、触れるとかぶれることがあります。
この根および根茎を威霊仙という生薬にします。本草綱目を著した李時珍は、この名称について、「効力が強く(威)速効性がある(霊仙)という意味である」と説明しています。古くから手足の麻痺や疼痛の治療に用いられており、唐代に書かれた『威靈仙傳』には「諸々の風を去り、十二経脈を通じ、朝服すれば暮に効があり...」と書かれています。「風」は痛みの原因となるもので、これを除く力があり速効性があるとしています。現在でも疎経活血湯や二朮湯といった、主に疼痛を治療する漢方処方に配合されています。
日本薬局方(第十八改正)ではこれ以外にClematis mandshurica、C. hexapetalaの根及び根茎と定めています。現在、これらいずれも中国では威霊仙として利用していることから、全て中国からの輸入に頼っているわが国の生薬も、これらの植物を基原としています。実は、中国では、正規品ではないものの数多くのクレマチス属の植物が「威霊仙」として利用されていて、科も全く違うニガカシュウ(Smilax sieboldii Miq.)までも根の形状が似ていることから「威霊仙」として利用することがあるようです。古くから文献に記載されている生薬ですが、形状の記録の多くは文字のみであり、どの植物を指しているのか、正確にはわからないものも多くあります。地上部と地下部の形が似ているというだけで、同じ生薬として利用されることもあったようです。威霊仙はそのような生薬の一つと言えるでしょう。
この根および根茎を威霊仙という生薬にします。本草綱目を著した李時珍は、この名称について、「効力が強く(威)速効性がある(霊仙)という意味である」と説明しています。古くから手足の麻痺や疼痛の治療に用いられており、唐代に書かれた『威靈仙傳』には「諸々の風を去り、十二経脈を通じ、朝服すれば暮に効があり...」と書かれています。「風」は痛みの原因となるもので、これを除く力があり速効性があるとしています。現在でも疎経活血湯や二朮湯といった、主に疼痛を治療する漢方処方に配合されています。
日本薬局方(第十八改正)ではこれ以外にClematis mandshurica、C. hexapetalaの根及び根茎と定めています。現在、これらいずれも中国では威霊仙として利用していることから、全て中国からの輸入に頼っているわが国の生薬も、これらの植物を基原としています。実は、中国では、正規品ではないものの数多くのクレマチス属の植物が「威霊仙」として利用されていて、科も全く違うニガカシュウ(Smilax sieboldii Miq.)までも根の形状が似ていることから「威霊仙」として利用することがあるようです。古くから文献に記載されている生薬ですが、形状の記録の多くは文字のみであり、どの植物を指しているのか、正確にはわからないものも多くあります。地上部と地下部の形が似ているというだけで、同じ生薬として利用されることもあったようです。威霊仙はそのような生薬の一つと言えるでしょう。
(川添和義、磯田 進)
注)薬用成分が含まれていますので、利用に関しては必ず専門家にご相談下さい。また、利用により,万一,体調が悪くなられた場合は医師にご相談下さい。


