パチョリはマレーシアとフィリピン原産の多年草であり,東南アジアやインドで栽培されています。 高さは 1メートルほどになり,枝先には長さ10センチ前後の花穂をつけます。花は白~淡紫色の唇型で, ふかふかとした毛の生えた、長い雄しべが目立ちます。また,シソ科植物の特徴である四角い茎を持ち,楕円形の葉には不揃いの鋸歯があり表面に毛が生えています。葉には精油が蓄えられていますが,多くのシソ科植物の精油が葉の表面にある腺鱗という袋状の組織に蓄積するのに対し,パチョリの精油は葉の内部に蓄えられるのが特徴的です。同じように葉の内部に精油を蓄える植物にはミカン科のサンショウなどがあります。
パチョリは古くからインドやアラビアなどで催淫薬や抗うつ薬,消毒薬,お香などとして用いられてきました。また,その精油は独特な香りでインドでは虫よけや香水として広く利用されています。漢方医学や中医学では,パチョリの地上部を生薬藿香(カッコウ)として使用し,解熱・鎮吐・健胃作用を目的に藿香正気散(かっこうしょうきさん)や香砂平胃散(こうしゃへいいさん),香砂六君子湯(こうしゃりっくんしとう)などの処方に配合しています。成分としてはパチョリアルコールやメチルチャビコール,シンナムアルデヒド,オイゲノール等を含みます。藿香の基原植物として,パチョリ以外にシソ科のカワミドリ(Agastache rugosa (Fisch. et C.A.Mey.) Kuntze)が使用されることがあります。カワミドリに由来するものを土藿香,川藿香と呼ぶのに対し,パチョリに由来するものは広藿香と呼びますが,これは東南アジアから導入されたパチョリが中国の広州で栽培されてきたためです。中国の本草書や植物誌の藿香に関する記述の中にはパチョリについて記載したものとカワミドリについて記載したものが両方存在し,古くから基原植物が混乱していたようです。一般に市場に流通するものの多くはパチョリに由来する広藿香であり,第十八改正日本薬局方でも基原植物はPogostemon cablinの1種のみとなっています。
パチョリは古くからインドやアラビアなどで催淫薬や抗うつ薬,消毒薬,お香などとして用いられてきました。また,その精油は独特な香りでインドでは虫よけや香水として広く利用されています。漢方医学や中医学では,パチョリの地上部を生薬藿香(カッコウ)として使用し,解熱・鎮吐・健胃作用を目的に藿香正気散(かっこうしょうきさん)や香砂平胃散(こうしゃへいいさん),香砂六君子湯(こうしゃりっくんしとう)などの処方に配合しています。成分としてはパチョリアルコールやメチルチャビコール,シンナムアルデヒド,オイゲノール等を含みます。藿香の基原植物として,パチョリ以外にシソ科のカワミドリ(Agastache rugosa (Fisch. et C.A.Mey.) Kuntze)が使用されることがあります。カワミドリに由来するものを土藿香,川藿香と呼ぶのに対し,パチョリに由来するものは広藿香と呼びますが,これは東南アジアから導入されたパチョリが中国の広州で栽培されてきたためです。中国の本草書や植物誌の藿香に関する記述の中にはパチョリについて記載したものとカワミドリについて記載したものが両方存在し,古くから基原植物が混乱していたようです。一般に市場に流通するものの多くはパチョリに由来する広藿香であり,第十八改正日本薬局方でも基原植物はPogostemon cablinの1種のみとなっています。
(伊藤ほのか、磯田 進)
注)体質によってはアレルギーなどを起こす場合があります。利用により,万一,体調が悪くなられた場合は医師にご相談下さい。