薬学用語解説
慢性閉塞性肺疾患
作成日: 2023年07月22日
更新日: 2024年03月01日
薬理系薬学部会
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慢性気管支炎または肺気腫,あるいは両者の併発により引き起こされる閉塞性換気障害を特徴とする疾患。日本のCOPDの罹患数は530万人(70歳以上が200万人)と推定されている。 慢性気管支炎では、長期間の気管支の炎症により気管支が肥厚して、内腔がせまくなり、長く続くせきとタンや息切れも自覚する。肺気腫では、ガス交換の場である肺胞が破壊され、終末細気管支より末梢の気腔が異常に拡張しており、息切れしやすい。スパイロメトリー検査によって1秒率(FEV1.0%)が70%以下の場合にCOPDと診断される。 慢性気管支炎、肺気腫の発症の危険因子は、加齢(老化)、喫煙(長期の受動喫煙も含む)、気道感染、大気汚染(職業的暴露)などである。COPD発症の最大の危険因子は喫煙であり、喫煙者の約15%がCOPDになるといわれている。60歳以上の男性に多く、長年の喫煙に加え、老化そのものによる影響も発症に関わる。治療法としてはまず禁煙が最も有効である。COPDの治療薬としては気道拡張薬である抗コリン薬(チオトロピウム)、β2作動薬、メチルキサンチン(テオフィリン)などがある。