薬学用語解説
フィッシャー比
作成日: 2023年07月22日
更新日: 2024年03月01日
薬理系薬学部会
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分枝鎖アミノ酸(branched chain amino acid: BCAA;イソロイシン・ロイシン・バリン)と、芳香族アミノ酸(aromatic amino acid: AAA;チロシン・フェニルアラニン)のモル比(BCAA/AAA)をフィッシャー比という。健常人のフィッシャー比は、3~4でほぼ一定である。肝機能が低下すると、肝臓のアミノ酸代謝異常が起こりチロシンやフェニルアラニンの血中への供給量が増え、筋肉や心臓において分枝鎖アミノ酸が分解されることから、フィッシャー比の値が低下する。肝炎・肝硬変・劇症肝炎・肝性脳症などの肝不全で低値を示し、1.8を下回ると治療が施される。フィッシャー比の是正のため、BCAAを主とした特殊組成アミノ酸製剤を用い、静脈内投与によりアミノ酸バランスを補正する。臨床では、総分枝鎖アミノ酸/チロシンモル比(BTR)が測定されることが多い。臨床的意義は同等と考えられている。