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薬学用語解説

無毒性量
無有害量/最大無毒性量/最大無有害量

作成日: 2023年07月22日
更新日: 2024年03月01日
薬理系薬学部会
© 公益社団法人日本薬学会

複数の用量群を用いた反復投与毒性試験、生殖・発生毒性試験などの動物実験において、毒性学的なすべての有害な影響が認められなかった最高の暴露量のこと。無影響量(NOEL)と同義語として用いられることもある。有害な影響の有無の判断は毒性学の専門家に任せられているが、生体組織の基質的変化を伴わない、血清生化学値あるいは器官重量の増減、または、代償的な変化は有害な影響と見なされる。WHOなどの国際機関や欧米先進国ではNOELよりもNOAELを採用しており、日本でも最近はNOAELが用いられるようになってきた(一般にNOAEL≧NOELの関係にある)。多くの場合、長期反復投与試験の結果に基づいて、一日許容摂取量(ADI)を算出するが、NOAELが実験から求められるとは限らないので、このような場合には、推計学的手法を使ってNOAELを求める。ベンチマークドースという数理モデルで無毒性量を推計し、NOAELと同等に扱うことが生殖発生毒性の分野ですでに行われている。