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薬学用語解説

頻尿

作成日: 2023年07月22日
更新日: 2024年03月01日
薬理系薬学部会
© 公益社団法人日本薬学会

頻尿とは排尿の回数の多いこと。一日10回以上、就寝時2回以上がめやす。  膀胱の正常容量は約200 ml~300 mlほどであり、約150 ml溜まると軽い尿意を、250 ml溜まると強い尿意を覚えるとされている。排尿回数は一日に七回ほどが成人の平均で、一日に約1500 mlの尿量を排出している。水分を大量に摂取した場合の排尿は、体内に急激に増えた水分を排出しようとする一時的、生理的な反応である。水分の大量摂取がないのに頻尿を招く原因として、膀胱や尿道などの下部尿路器官などに異常がみとめられる場合と、器質的疾患がないのに、心理的要因によって症状だけが出る場合がある。  頻尿をきたす原因疾患として、膀胱炎、尿道炎、膀胱がん、前立腺炎、膀胱および尿管結石などがある。膀胱炎を起こすと、膀胱粘膜の知覚が過敏になり、少量の尿が膀胱内に溜まっただけでも、排尿刺激が起こって頻尿となる。また、膀胱内の腫瘍や結石あるいは膀胱周辺の臓器(子宮や卵巣、大腸など)の腫瘍による膀胱の圧迫により膀胱の容量が減り頻尿を招くこともある。男性での前立腺肥大症や前立腺がんなどに見られる頻尿は、膀胱にたまっている尿を一回ですべて出し切れないため、頻尿となる。脳血管障害(脳脊髄腫瘍や脳梗塞)、多発性硬化症、パーキンソン病などで排尿を調節している神経系が障害された場合にも、頻尿・尿失禁などの排尿異常がおこる(神経因性膀胱)。尿崩症や糖尿病などで一日の尿量が4~10 リットル近くにもなるなどの内分泌異常や、慢性腎不全などの病気によって尿量自体が増え、 排尿回数も多くなる場合には頻尿ではなく、「多尿」(一日の尿量が多い状態)と診断される。