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薬学用語解説

エブネル腺

作成日: 2023年07月22日
更新日: 2024年03月01日
薬理系薬学部会
© 公益社団法人日本薬学会

舌に存在する小唾液腺の1つ。有郭乳頭を取り巻く溝の底と葉状乳頭の乳頭間の溝に開口しており、純漿液性の唾液を分泌する。分泌液は脂肪を分解するリパーゼを含んでいる。生理的な役割は明らかではなく、これまでは分泌液が味蕾周辺にたまった食物のかすを洗い流し、次の刺激に備える役目を持つと説明されてきた。河合ら(Am. J. Physiol., 2003)は、ラット有郭乳頭の溝に導入した中性脂肪の数%が1秒間で脂肪酸に分解されることを示し、エブネル腺のリパーゼが食物中の中性脂肪を一部分解し、生じた微量の脂肪酸が味細胞の脂肪酸受容部位を刺激すると提唱した。人間でもリパーゼは分泌されているが、ラットに比べると微量である。