薬学用語解説
筋萎縮性側索硬化症
ルー・ゲーリッグ病
作成日: 2023年07月22日
更新日: 2024年03月01日
薬理系薬学部会
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主に40~60歳で発病し、上位、下位の両運動ニューロンが選択的にかつ進行性に変性消失していく原因不明の神経難病。アメリカのプロ野球選手Lou Gehrigが罹患したことからルー・ゲーリッグ病とも呼ばれる。筋萎縮と筋力の低下、線維束性収縮が主体で、構語障害、嚥下障害、呼吸障害、歩行障害などが生ずるが、一般に眼球運動、膀胱直腸、感覚や知能には影響がないという特徴がある。病勢の進展は比較的速く、人工呼吸なしでは発症後2~4年で死亡する。患者数は人口10万人あたり2~4人で、日本では5千人程と推定されている。男女比は2:1と男性に多い。大部分は孤発性であるが、5~10%に常染色体優性遺伝を示す家族性がみられる。家族性ALSの約2割ではスーパーオキシド・ジスムターゼ(フリーラジカルであるスーパーオキシドを処理する酵素)の遺伝子に異常が見つかっている。根本的な治療法は未確立であるが、筋力低下を遅らせるためのリハビリテーションは有効である。呼吸筋も麻痺するため、人工呼吸器の永続的な装着が必要となる。治療薬として、リルゾールとエダラボンがALSの病勢進展の抑制に適用される。