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薬学用語解説

浮腫

作成日: 2023年07月22日
更新日: 2024年03月01日
薬理系薬学部会
© 公益社団法人日本薬学会

細胞外液のうち間質液が病的に増加した状態。局所的に生じる局所性浮腫と、全身的に増加をきたす全身性浮腫がある。  体重の約60%(女性は55%)を占める体液は、細胞内液(40%)、細胞外液(20%)に分けられ、細胞外液はさらに血管外にある間質液(15%)、血管内の血漿(4%)、リンパ、脳脊髄液(1%)に分けられる。指で押した跡(指圧痕)が残るような高度な浮腫になると、体重はすでに約10%増加しているといわれている。  局所性浮腫には静脈圧の上昇による浮腫、リンパ管の閉塞による浮腫、火傷、痛風など炎症性浮腫や外傷性浮腫がある。全身性浮腫は、腎臓から排泄されるナトリウム(Na+)量が減少し、貯えられたNa+が間質液に移行することにより起こる。また毛細血管にかかる血管内圧と、アルブミンを主とした血漿蛋白が血管の中に水を保持する膠質浸透圧のバランスが崩れても浮腫が起こる。  臨床的に浮腫を伴う全身性の疾患には、うっ血性心不全(心性浮腫)、肝硬変(肝性浮腫)、急性糸球体腎炎、腎不全、ネフローゼ症候群(腎性浮腫)があげられる。