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薬学用語解説

骨粗しょう症
骨粗鬆症

作成日: 2023年07月22日
更新日: 2024年03月01日
薬理系薬学部会
© 公益社団法人日本薬学会

骨塩と骨基質の組成は正常であるが、骨密度(単位体積あたりの骨量)が低下し、微細構造の変化により 骨が脆弱化し、脆弱性骨折の危険が増大した病態。女性に多く、日本では約1,300万人とみられ、高齢化社会に伴い増加していく傾向にある。 脆弱性骨折とは低骨量が原因で、軽微な外部の力によって発生した非外傷性の骨折のことをいう。骨は破骨細胞による骨吸収と骨芽細胞による骨形成が成長期を過ぎた後も一定のサイクルで続く。加齢による骨芽細胞の活性の低下、運動不足などの生活習慣、女性の場合は女性ホルモンの減少から、骨吸収と骨形成のバランスが崩れると、骨粗しょう症の原因になる。骨格を機械的に支えるための骨量が最終的に骨折に耐える閾値を下回ると、全くの外傷なしに骨折することがある。主な骨粗しょう症の臨床症状の発現は、慢性的な痛みの原因となる骨折である。  特に原因となる病気がなく、骨の形成や吸収にかかわる機能の異常によって起こる原発性(一次性)骨粗しょう症と、原因となる別の病気があるために起こる続発性(二次性)骨粗しょう症(5%未満)がある。原発性骨粗しょう症は、閉経期の急激な女性ホルモンの喪失を主因とする閉経後骨粗しょう症、カルシウム調節ホルモンの不均衡による老人性骨粗しょう症、原因不明の特発性骨粗しょう症に分けられる。高齢の女性にみられる骨粗しょう症には、閉経後骨粗しょう症と老人性骨粗しょう症の2つの要素が混在している。続発性骨粗しょう症は、ステロイド性や関節リウマチなどの基礎疾患に伴う骨粗しょう症である。  骨粗しょう症の管理の目標は、骨折を防ぎ、痛みがあればそれを軽減し、機能を維持することである。薬物は骨量の減少を最小にするために使用される。骨吸収抑制薬としてビスホスホネート系薬(アレンドロン酸,リセドロン酸など)、選択的エストロゲン受容体調節薬(ラロキシフェン、バゼドキシフェン)、抗RANKL抗体(デノスマブ)など、骨形成促進薬として副甲状腺ホルモン関連薬(テリパラチドなど)、骨吸収抑制と骨形成促進の両方の作用を有する抗スクレロスチン抗体(ロモソズマブ)がある。また、カルシトニン製剤(エルカトニン)は骨粗しょう症に伴う疼痛の緩和に用いられる。