薬学用語解説
痛風
作成日: 2023年07月22日
更新日: 2024年03月01日
薬理系薬学部会
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高尿酸血症が持続した結果、関節の滑膜に尿酸塩が析出・沈着して起こる関節炎。男性(30 - 50歳代に多く(95%以上)、また女性では高齢者に多く認められ、患者数は30-60万人と推定されている。高尿酸血症は男女を問わず血清尿酸値が7.0 mg/dl以上の場合であり、日本人男性の20%に見られる。数年間の無症候性高尿酸血症(尿酸値は高いが、何ら症状を認めない状態)を経て痛風急性期となり、痛風発作(痛風性関節炎 gouty arthritis)が発生する。発作は母趾(足の親指)に好発し、安静時や夜間に耐え難い激痛として認められる。一時期歩行困難となるが7-10日で軽快する。さらに高尿酸血症を治療せず放置しておくと痛風慢性期となり、尿路結石、痛風結節(皮下や種々の臓器への尿酸塩血漿の沈着)や痛風腎(間質性腎炎)から尿毒症に至る。治療薬としては、疼痛発作の前兆時にはコルヒチン、疼痛発作時には、非ステロイド系抗炎症剤(NSAIDs)の大量投与あるいはステロイド剤を使用する。概ね、発作は2週間以内に消失し、その後高尿酸血症に対する治療をおこなう。