薬学用語解説
バソプレシン
抗利尿ホルモン
作成日: 2023年07月22日
更新日: 2024年03月01日
薬理系薬学部会
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抗利尿ホルモン(ADH)であり、視床下部で合成され、下垂体後葉の神経終末に貯蔵されている。血漿浸透圧の上昇、血液量の減少で分泌が促進される。7回膜貫通型受容体(Gタンパク共役受容体)に属する、V1a、V1b、V2受容体の存在が知られている。V2受容体は腎集合管にあり、アデニル酸シクラーゼ-cAMP系を活性化し、水チャネルであるアクアポリン2を管腔側細胞膜へ移動させる。膜の水透過性が高まる結果、水の再吸収が促進され尿量が減少する。V1a受容体は心筋、血管平滑筋、大腸平滑筋などに分布し血圧上昇作用、腸管蠕動運動促進作用をおこす。V1b受容体は下垂体前葉に有りCRHによるACTH分泌を増強する。ADHの合成・分泌障害により中枢性尿崩症が、作用減弱により腎性尿崩症が生ずる。