薬学用語解説
抗毒素製剤
作成日: 2023年07月22日
更新日: 2024年03月01日
薬理系薬学部会
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抗毒素は細菌(ボツリヌス菌、ガスえそ菌、ジフテリア菌)が産生する毒素またはトキソイドを少量ずつウマに投与して、毒素の病原性を中和する免疫抗体(抗毒素)を産生させ、十分な免疫抗体をもつウマ血清から調整されたウマ免疫グロブリン製剤である。毒素に暴露された場合に発病阻止、または治療(血清治療)の目的に使われている。細菌由来毒素によるボツリヌス中毒症、ガスえそ、ジフテリア、あるいは毒蛇(まむし、はぶ)による咬傷などの疾患は重篤かつ致命的であり、緊急の治療法としてはこの抗毒素の投与が唯一の方法である。抗毒素製剤にはガスえそウマ抗毒素、ボツリヌスウマ抗毒素、ジフテリアウマ抗毒素、まむしウマ抗毒素、はぶウマ抗毒素などがある。最終製品はすべて製品ロットごとに、国立感染症研究所において国家検定が実施され、適合するものだけが出荷される。