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薬学用語解説

尿崩症

作成日: 2023年07月22日
更新日: 2024年03月01日
薬理系薬学部会
© 公益社団法人日本薬学会

口渇、多飲、低張多尿を主徴とする疾患。抗利尿ホルモン(バソプレシン;ADH)の合成・分泌に関係する視床下部・下垂体後葉の障害による中枢性尿崩症と、腎尿細管での抗利尿ホルモンの反応低下による腎性尿崩症とに大別される。抗利尿ホルモンのバソプレシンは視床下部で合成され、下垂体後葉に貯蔵されている。血中に放出されると腎臓の尿細管上皮細胞で水の再吸収を促進し、水分排泄を抑制・尿の濃縮を行う。中枢性尿崩症の原因としては、視床下部や下垂体の手術による損傷、脳の外傷、腫瘍などがある。腎性尿崩症は遺伝的なADH受容体異常によるものが知られている。中枢性尿崩症治療薬としてデスモプレシンおよびバソプレシンがあり、腎性尿崩症の治療にヒドロクロロチアジドやトリクロルメチアジドが適用される。