薬学用語解説
経口糖尿病治療薬
作成日: 2023年07月22日
更新日: 2024年03月01日
薬理系薬学部会
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経口で投与される糖尿病治療薬。2型糖尿病で、食事療法や運動療法で十分な血糖コントロールができないときに用いられる。糖尿病ではインスリンの効果は絶大であるが、経口服用できないこと、肥満を起こしやすいことなどから経口抗糖尿病薬が多く用いられている。インスリン分泌促進薬、インスリン抵抗性改善薬、糖類吸収遅延薬に分類される。膵臓ランゲルハンス島β細胞からのインスリン分泌促進薬としては、スルホニル尿素(SU)薬(グリベンクラミド、グリクラジド、グリメピリドなど)、速効型インスリン分泌促進薬(ナテグリニド、ミチグリニド、レパグリニド)、DPP-4阻害薬(シタグリプチン、ビルダグリプチンなど)がある。インスリン抵抗性の改善薬として、ビグアナイド薬(メトホルミン、ブホルミン)やペルオキシゾーム増殖薬活性化受容体γ(PPARγ)のアゴニストであるチアゾリジン誘導体(ピオグリタゾン)がある。糖類吸収遅延薬には、小腸粘膜上皮細胞に存在するα-グルコシダーゼを競合阻害してデンプンや二糖類の吸収を遅延させるα-グルコシダーゼ阻害薬(アカルボース、ボグリボース、ミグリトール)がある。さらに、糖の尿中排泄を促すSGLT2阻害薬(イプラグリフロジン、ダパグリフロジンなど)や、ミトコンドリア機能の改善等を介してインスリン分泌促進・糖代謝改善作用を示すイメグリミンがある。