薬学用語解説
下剤
作成日: 2023年07月22日
更新日: 2024年03月01日
薬理系薬学部会
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下剤は、便秘、不消化物や毒物など有害物質の排泄、結腸検査、腹部手術前の処置などに用いられる 。軟便を排泄させる緩下薬と液状便を排泄させる峻下薬があるが、その区別は厳密ではない。湿潤性下剤(DSS; ジオクチルソジウムスルホサクシネート)は腸内で界面活性作用により腸管内容物の表面張力を低下させ、水分の流入を容易にし内容物を膨潤させる。常習便秘、高血圧患者、妊婦の便秘に用いられる。膨張性下剤(カルメロース)は水分を吸収し、腸の内容物を膨張させることにより、腸局所を刺激して蠕動運動を促進する。塩類下剤(マグネシウムイオン、硫酸イオンなど)は、腸壁からの吸収が困難であり、腸管内が高張液状態になる。腸管腔の水分を保持するとともに、水分が腸管腔内へ移行し、腸内の水分が著明に増加して、水様便の排便が起こる。刺激性下剤は、直接の大腸粘膜や小腸粘膜の刺激あるいは知覚神経終末の刺激を介して、蠕動運動を亢進させ排便を促す。小腸刺激性下剤にはヒマシ油、大腸刺激性下剤には、ビサコジル、ピコスルファート、ダイオウ(末,エキス)、センナ(末,エキス)などがある。