薬学用語解説
バニロイド受容体
作成日: 2023年07月22日
更新日: 2024年03月01日
薬理系薬学部会
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トウガラシの辛味成分であるカプサイシン(バニリル基を有する脂肪酸アミド)の受容体.受容体分子の実体はTRPV1であり、これは6回膜貫通領域を有する非選択的カチオンチャネルであるTRP (transient receptor potential) チャネルファミリーのメンバーとして知られる。感覚神経の1つである無髄C線維に発現し、カプサイシンのみならず、高体温、組織の低pH, ATPやPGE2、ブラジキニンなどの炎症関連因子、生体内リガンドであるアナンダミド(anandaminde)などによって活性化される。痛みの受容に重要な役割を持つことから、鎮痛薬開発における標的分子として注目を浴びている。バニロイド受容体はカプサイシンの反復刺激により応答しなくなる(脱感作)という特徴を有するが、その機序としてCa2+による調節やリン酸化・脱リン酸化の関与が示唆されている。