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薬学用語解説

アンチトロンビン
アンチトロンビンIII

作成日: 2023年07月22日
更新日: 2024年03月01日
薬理系薬学部会
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アンチトロンビン(アンチトロンビンIII、分子量65,000)は肝臓で産生され、血液中で凝固阻害因子として、凝固反応を制御する生理的セリンプロテアーゼインヒビターである。トロンビン(活性化された第II因子)、活性化された第X因子(第Xa因子)、第IX因子(第IXa因子)、カリクレインなどの凝固系因子ならびに線溶系のプラスミンと結合し、不活性化する。凝固系が活性化され生成するトロンビンは、直ちにアンチトロンビンIIIと複合体を形成し不活化される。また、アンチトロンビンはヘパリンが結合することにより抗トロンビン活性を増強する。アンチトロンビンの分子上、ヘパリン結合ドメインはN端に、トロンビンとの反応部位はC端にある。肝硬変や播種性血管内凝固症候群(DIC)では、血中のアンチトロンビン値が減少する。アンチトロンビンの欠損ないし分子異常は、静脈血栓症の発症要因となる。