薬学用語解説
T1緩和時間
T1緩和時間/T2緩和時間
作成日: 2023年07月22日
更新日: 2023年12月27日
物理系薬学部会
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NMR現象において、ラジオ波(RF)パルスの照射で励起した核スピンが基底状態に戻る過程を"緩和"と呼ぶ。T1緩和は縦緩和とも呼ばれ、縦方向の磁化ベクトルが時間(t)とともに熱平衡状態に戻る緩和過程のことである。T1緩和時間は、NMR信号の縦磁化が63.2%まで回復するのに要する時間と定義される。T2緩和は横緩和とも呼ばれ、横方向の磁化ベクトルが時間(t)とともに減衰する緩和過程のことである。NMR信号のT2緩和挙動はI⁄I0=exp(−t⁄T2)と表され、この式の時定数(T2)がT2緩和時間である。したがってT2緩和時間とは、RFパルス照射によって発信されるNMR信号が36.8%に減衰するまでの時間と定義することもできる。