薬学用語解説
過飽和
作成日: 2023年07月22日
更新日: 2023年12月27日
物理系薬学部会
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溶解度以上の溶質を含んだ溶液や、飽和蒸気圧以上に存在する蒸気を過飽和であるという。溶解度や飽和蒸気圧は、温度や圧力により、熱力学的に決まるが、過飽和は、擬似的な安定(準安定)を保っている状態である。溶解度以上にしても、溶質が溶解して、固体が生成しない、あるいは大気が飽和蒸気圧以上であっても雨が降らないのは、この過飽和状態が存在することによる。過飽和状態は、溶質と同種の固体、異種の固体の添加や、あるいは強い衝撃を与えることで解消される。また、過飽和の度合いは、溶質濃度と溶解度の比(過飽和度比)溶質濃度と溶解度の差(過飽和度)、あるいは飽和温度と操作温度の差(過冷却度)で表すことができる。