薬学用語解説
ピーク値トラフ値変動
作成日: 2023年07月22日
更新日: 2024年03月01日
物理系薬学部会
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薬剤を経口投与すると血中濃度は吸収により増加し、代謝・排泄によって減少する。反復投与すると血中濃度は増減を繰り返しながら徐々に上昇し、最終的に一定の範囲内で増減を繰り返すようになる(定常状態)。この定常状態における血中濃度の最高値と最低値を、ピーク値およびトラフ値と呼ぶ。血中濃度が必要以上に高いと副作用の発現リスクが高まるので、ピーク値は副作用発現の指標になる。一方、薬効発現に一定以上の血中濃度の維持が必要な場合にはトラフ値が重要な指標となる。 慢性疾患に供する徐放性製剤の開発では、副作用の軽減と確実な薬効発現を達成させるために、ピーク値が副作用発現未満に、トラフ値が薬効発現以上になるように製剤設計する。すなわち、ピーク値トラフ値変動が小さくなるように設計する。