薬学用語解説
受動輸送
単純拡散/受動拡散/促進拡散/担体輸送
作成日: 2023年07月22日
更新日: 2024年03月01日
物理系薬学部会
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膜をはさむ両側の物質の濃度に差が存在するとき、その化学ポテンシャルの勾配に従って物質が移動すること。薬物の吸収など膜透過の多くがこの輸送による。特徴として、細胞のエネルギー代謝に依存せず、物質間に相互作用がない場合、共存する物質により影響されない。 生体膜透過の際には、生体膜が親油性であるため、生体膜への分配が高い物質では透過速度が大きいが、親水性の高い物質は生体膜へ分配しにくいため、ほとんど透過しない。また、膜中では分子量が小さい物質ほど拡散が速く、透過しやすい。生体膜と相互作用のあるものは、親油性や分子量から予想されるよりも透過が遅くなることがある。 (2008.4.14 掲載) 受動輸送には、イオンチャネルやトランスポーターなどの輸送担体が関与しない単純拡散(受動拡散)と輸送担体が関与する促進拡散がある。