薬学用語解説
線量
作成日: 2023年07月22日
更新日: 2024年03月01日
物理系薬学部会
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放射線の物理的性質を表現するために崩壊(壊変)速度をベクレル(Bq)で表すのに対し、生体影響やその防護を考える場合には、受け手の立場における放射線量の尺度が必要となる。吸収線量は、単位質量(kg)の物質に吸収された放射線のエネルギー(J)で表され、単位はグレイ(Gy)を用いる。放射線の種類やエネルギーによる生体影響の違いを考慮した放射線荷重係数を吸収線量に乗じた値を等価線量といい、単位はシーベルト(Sv)で表す。放射線荷重係数は、α線や中性子線で大きく、X線・γ線・β線を1とすると、α線で20、中性子線で5-20(エネルギーに依存する)である。さらに放射線に対する組織や臓器の相対的な感受性の違いを反映して組織荷重係数を定め、身体のすべての臓器・組織について合計した総和を実効線量といい、単位はシーベルト(Sv)で表す。組織荷重係数は、生殖腺で0.20、赤色骨髄・肺・胃で0.12と高く、皮膚・骨表面では0.01と低い。