menu

薬学用語解説

動脈血ガス分析

作成日: 2023年07月22日
更新日: 2024年03月01日
物理系薬学部会
© 公益社団法人日本薬学会

動脈血ガス分析では、酸素分圧(PaO2)、炭酸ガス分圧(PaCO2)、pHを測定する。体中をまわった血液(静脈血)は静脈を通って心臓にもどり,右心室をへて肺へ循環し,二酸化炭素を肺胞気中に捨て,空気中の酸素を受け取る。酸素に富み二酸化炭素の少ない動脈血は心臓へ戻り左心房→左心室をへて動脈を通って全身に運ばれる. PaO2は血液の酸素化能の指標であり、正常値は90 ~ 100 Torr (mmHg)、PaCO2(炭酸ガス分圧)は肺胞換気量を示し,35 ~ 45 Torrが正常値、 pH の正常範囲は7.35~7.45である。PaO2が60Torr以下の状態が呼吸不全であり、PaCO2が45 Torr以下の場合をI型呼吸不全、45Torr以上の場合をII型呼吸不全とよぶ。 血液は弱アルカリ性(pH 7.35~7.45)に保たれるように肺や腎臓で調節されている。pH<7.35(血液が酸性に傾いた状態)をアシドーシスといい、PaCO2の上昇による呼吸性アシドーシス、または血漿中HCO3濃度が低下する代謝性アシドーシスがある。呼吸性アシドーシスは肺気腫・慢性気管支炎などの慢性閉塞性肺疾患(COPD)、気管支喘息、高度に進展した肺疾患、神経筋疾患における呼吸筋のマヒなどで起こりうる。pH>7.45の状態(血液がアルカリ性に傾いた状態)をアルカローシスといい、PaCO2の低下による呼吸性アルカローシス、または血漿中HCO3濃度が上昇する代謝性アルカローシスがある。