薬学用語解説
血中薬物濃度
作成日: 2023年07月22日
更新日: 2024年03月01日
物理系薬学部会
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投与した薬物の血液中の濃度。測定法には免疫学的な方法や高速液体クロマトグラフィー法(HPLC)などがある。血液中の薬物濃度は、血球中薬物濃度、血漿中薬物濃度に区分される。多くの薬物では全血液中の薬物濃度の測定は技術的に困難であり、血漿中薬物濃度あるいは血清中薬物濃度を測定し、血中薬物濃度としている。血球中薬物濃度が高く無視できない場合には、全血中の薬物濃度を測定する。 静脈投与以外の方法で与えられた薬物の血中濃度は、一定時間後に最大濃度に達しその後減衰する。最高血中濃度(Cmax)は薬物投与後の最大血中濃度を、最高血中濃度到達時間(Tmax)は最大濃度に達するまでの時間、血中濃度半減期(T1/2)は薬物の血中濃度が半分になるまでの時間であり、これらは体内動態の指標となる。体循環血液中に入った薬物量は直接測定することができないので、血中濃度の時間経過を表した曲線(薬物血中濃度-時間曲線)と、横軸(時間軸)によって囲まれた部分の面積(AUC: area under the blood concentration time curve)が、体内に取り込まれた薬の量を示す指標として用いられる。 同一用量の薬剤を服用しても、吸収、組織分布、肝代謝,腎排泄など薬物体内動態の個人差により、血中薬物濃度は等しくならないことがある。一方、同一の血中薬物濃度となっても各個人の感受性の違いにより、薬理効果・副作用発現の程度が異なる場合もある。