薬学用語解説
代謝活性化
作成日: 2023年07月22日
更新日: 2024年03月01日
物理系薬学部会
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投与された薬物や異物が体内で代謝を受けることにより化学構造が変化し、薬理作用や毒性が現れたり、強くなること。生成した代謝物を活性代謝物という。薬物代謝の第一相や第二相のさまざまな反応によって活性代謝物が生成する可能性がある。シトクロムP450など分子種により臓器分布が異なるものは同じ活性代謝物を生成していても違った分子種が各臓器で関与しているものと考えられている。また,腸内細菌による代謝で代謝活性化される場合もある。薬物(異物)代謝活性物はしばしば生体内の分子(タンパク質や核酸など)と不可逆的に共有結合し、肝毒性、組織壊死、変異原性やがん原性の原因となると考えられている。生体内における代謝活性化の強さには、種差、性差、年齢差、臓器特異性あるいは個人差などがみられる。しかし、生体内には不活性化するシステムも存在するため、薬効発現や毒性発現は、活性化と不活性化のバランスによって決まる。