薬学用語解説
電離放射線
作成日: 2023年07月22日
更新日: 2024年03月01日
物理系薬学部会
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高速度で運動している粒子線あるいは電磁波を総称して放射線といい、なかでも物質と相互作用してイオン化すなわち電離現象を起すことのできる放射線を電離放射線という。通常、電離放射線のことを指して放射線と考える場合が多い。電離放射線は放射性同位元素の壊変に伴って放出される場合と、加速器などを用いて人工的に放出される場合がある。電離放射線には,α線、β線、電子線、陽子線、そのほかの重粒子線などの荷電粒子と、電磁波が光子がとして伝播するX線、γ線ならびに中性子線がある。電離放射線は (1)一時的電気伝導の付与、(2)放電の誘発、(3)発光作用(一般にこの光をシンチレーションという)、(4)放射線損傷、(5)化学作用としての写真作用と高分子の重合作用、(6)生物作用などの作用をもつ。核酸やタンパク質の標識、診断薬、放射線療法などに利用される。