薬学用語解説
オストワルドの段階則
作成日: 2023年07月22日
更新日: 2024年03月01日
物理系薬学部会
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結晶多形を有する化合物が溶液から晶析する時、熱力学的安定性の低い準安定形が先に晶析し、その後安定形が出現する現象をオストワルドの段階則(Ostwald's step rule、Ostwald's rule of stages)といい、Whilhelm Ostwald(1909年ノーベル化学賞受賞)により提唱された理論である。結晶化の第1段階である1次核発生速度は、溶液の過飽和度と結晶核の界面エネルギーに依存するが、核発生では後者の影響が大きくなるため、高過飽和度では界面エネルギーが小さい準安定形の晶析が優勢となる。 なお、オストワルド・ライプニング(Ostwald ripening)は、同一多形でも結晶の大きさに不均一性がある場合、小さい結晶が溶解し、大きい結晶が成長する現象をいう。