薬学用語解説
免疫グロブリンE
作成日: 2023年07月22日
更新日: 2024年03月01日
生物系薬学部会
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分子量は約190000。免疫グロブリンのクラスの一つでありIgMについで大きい。2本のH鎖と2本のL鎖より構成されている。1966年石坂公成博士により即時型アレルギー現象の原因物質として発見された。正常血中濃度は極めて低く1μg/ml以下であるが、アトピー性疾患や寄生虫*感染によって増加する.アレルゲンへの曝露により産生されたIgEは、肥満細胞や好塩基球の表面に存在する高親和性のIgEレセプターに結合する。ここで再び侵入したアレルゲンがこのIgEに結合するとIgEが架橋されてレセプターが凝集し、細胞が活性化されて脱顆粒を起こす。その結果ヒスタミン、セロトニン、ロイコトリエンなどのメディエーターが放出される。また、同時に細胞膜のアラキドン酸カスケードも活性化され、ロイコトリエンやプロスタグランジン、トロンボキサンなどの脂質メディエーターやインターロイキンなどのサイトカインが産生分泌され、これらにより即時型アレルギーが引き起こされる。アレルギー性気管支喘息、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、寄生虫感染症、全身性エリテマトーデス、慢性関節リウマチなどで高値を示す。