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薬学用語解説

トランスポゾン/レトロポゾン

作成日: 2023年07月22日
更新日: 2024年03月01日
生物系薬学部会
© 公益社団法人日本薬学会

転移因子(トランスポゾン)はそれ自身のコピーを宿主ゲノムの他の領域に挿入する転移能を有するDNA因子である。転移因子はレトロトランスポゾン/レトロポゾンとDNAトランスポゾンに大きく分類され、前者はRNA中間体を逆転写酵素によりDNAに変換し、それがゲノムに挿入されるcopy-and-paste機構で転移する。後者はそれ自身がトランスポザーゼによりゲノムDNAから切り出され、それがゲノムの新しい部位に挿入されるcut-and-paste機構で転移する。ヒトゲノムに存在する転移因子の総数は300万コピー以上であるが、その大半がレトロトランスポゾン/レトロポゾンである。レトロトランスポゾンの転移は染色体の構造変化をもたらす可能性があるが、宿主の細胞は染色体中のレトロトランスポゾンを認識し、発生のごく初期にその領域をヘテロクロマチン化(抑制)して染色体を防御している。