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薬学用語解説

フィーダー細胞

作成日: 2023年07月22日
更新日: 2024年03月01日
生物系薬学部会
© 公益社団法人日本薬学会

対象細胞の増殖や分化に必要な培養条件を整えるために補助的に用いられる細胞を示す言葉である。ヒトES細胞/iPS細胞を培養する時に用いられるフィーダー細胞は、細胞の生存・増殖・未分化性維持に必要な液性因子を供給するとともに、細胞が接着する足場を提供する。ES細胞の分化を抑制する白血病抑制因子(LIF)は、マウスES細胞には有用であるが、ヒトES細胞/iPS細胞には同様の効果を示さないため、フィーダー細胞との共培養がこれらの細胞の標準的な培養法になっていた。しかし、細胞移植のような医療応用を前提とした場合、フィーダー細胞由来の未同定の成分が持ち込まれることなどが安全性の問題となったため、2022年現在ではフィーダー細胞無しでも培養できる技術が確立されている。また、再生医療等製品の一つである自家培養表皮の製造には、マウスの細胞がフィーダー細胞として使われている。