薬学用語解説
microRNA
作成日: 2023年07月22日
更新日: 2024年03月01日
生物系薬学部会
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長さ21~23塩基程度の1本鎖RNAであり、転写後の遺伝子発現調節に関わる。mricroRNA (miRNA)は数百から数千塩基の一次転写産物として発現し、核内でドローシャ(Drosha)によりステムループ型のmiRNA前駆体にプロセッシングされ、これが核外に輸送された後、ダイサー(Dicer)によってプロセッシングされることにより成熟したmiRNA分子が完成する。このmiRNA分子が、mRNAの3′末端非翻訳領域に結合し、mRNAの分解やリボゾームによるmRNAの翻訳を阻害することで、発現調節を行い、発生や形態形成などで重要な役割を果たしている。ただし、このmiRNAは、全RNA量の0.01%の微量しか存在せず、1塩基のミスマッチの類似配列が多数存在するために、検出は非常に困難とされている。サンガー研究所のmiRNA登録サイト(http://microrna.sanger.ac.uk/sequences/index.shtml)のmiRBaseには、これまで明らかになったmiRNAの詳細が載っている。がん細胞は特有のmiRNAを細胞外に放出することなどから、miRNAは診断のバイオマーカーの利用が期待されているだけではなく、miRNAを介した遺伝子治療も注目されている。