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薬学用語解説

mRNAポリA鎖分解/デアデニレーション

作成日: 2023年07月22日
更新日: 2024年03月01日
生物系薬学部会
© 公益社団法人日本薬学会

真核生物mRNAの3'末端には、転写と共役した反応によりポリA鎖が付加されており、mRNA分解は通常このポリA鎖の分解を第1段階として開始する。このポリA鎖の分解反応をデアデニレーション(deadenylation)と呼ぶ。mRNAポリA鎖分解/デアデニレ-ションの反応過程は、mRNA分解の律速段階であり、mRNA分解の主要な制御ステップとしてはたらく。ポリA鎖分解は2つのポリA鎖分解酵素(デアデニレース;deadenylase)複合体であるPan2-Pan3複合体およびCaf1-Ccr4(またはCcr4-NOT)複合体が触媒する。micro RNAや数多くの配列特異的RNA結合タンパク質は、Caf1-Ccr4をmRNAにリクルートし、ポリA鎖分解を促進することで遺伝子発現を負に制御する。一方で、配列特異的RNA結合タンパク質の中には、mRNAポリA鎖分解/デアデニレ-ションの逆反応である細胞質ポリA鎖伸長反応(cytoplasmic polyadenylation)を促進し、遺伝子発現を正に制御するものも知られている。