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薬学用語解説

有糸分裂

作成日: 2023年07月22日
更新日: 2024年03月01日
生物系薬学部会
© 公益社団法人日本薬学会

真核細胞の核の基本的な分裂形式をいう。有糸分裂は、体細胞有糸分裂と減数有糸分裂に大別されるが、近年は体細胞有糸分裂の意味で使われる場合が多い。両者ともに分裂時に核膜は消失し、染色質(クロマチン)は染色体に凝縮され、紡錘体によって娘核に等分される。多細胞生物では、中心体有糸分裂が最もよく見られ、紡錘体は両極に位置する中心体(紡錘体極)から赤道面に向かって円錐形に伸びた形式を取る。有糸分裂は一般に、前期、前中期、中期、後期、終期に分けられる。前期では、核の染色質の糸が凝縮し、染色体を形成する。また、動物細胞では、間期に倍加した中心体の各々がこの期に細胞の両極に移動する。前中期では、染色体は赤道面に移動し、核板の形成を行う。核膜は消失し、紡錘体の繊維構造が出現する。核小体はこの時期に消失する。中期には、すべての染色体の動原体は赤道面に並ぶ。各染色体には、はっきりした二つの縦裂が見られる。この期の染色体は、核型分析や姉妹染色分体交換の観察に利用される。後期は、縦裂によって分かれた各染色分体が、それぞれの極に向かって移動する時期であり、終期には、両極に密集した染色体が、前期の場合と逆の過程を経て娘核となり核膜を形成する。ほぼ同時期に、細胞膜のくびれ、あるいは細胞板形成により、細胞質分裂も行われる。