薬学用語解説
がん幹細胞
作成日: 2023年07月22日
更新日: 2024年03月01日
生物系薬学部会
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腫瘍幹細胞ともいう。がん組織を構成する細胞のうち、自己複製能を有し、単一の細胞から、がん組織全体を再構築する能力を持つ細胞を指す。遠隔転移後に腫瘍を形成したり、放射線や薬剤抵抗性を持つために休薬後の再発に関与することから、抗がん治療において重要な細胞種と言える。白血病や乳がん、脳腫瘍においてその存在が証明されている。腫瘍中にはがん細胞以外に免疫細胞や線維芽細胞が存在し、がん幹細胞と相互作用する。ニッチと呼ばれるこのような微小環境との相互作用は、がん幹細胞の長期維持にとって必要であるため、抗がん治療標的の一つとして注目されている。