薬学用語解説
樹状細胞
作成日: 2023年07月22日
更新日: 2024年03月01日
生物系薬学部会
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生体に侵入した病原体などに由来する抗原をT細胞に対して提示することによって、抗原特異的な獲得免疫応答を誘導する抗原提示細胞である。免疫組織や皮膚など全身に存在しており、形態的に樹状の突起が見られることからこの名称がつけられた。樹状細胞は、抗原の貪食とその後のプロセシングを行い、所属リンパ節へと移行する。所属リンパ節では、主要組織適合抗原複合体(MHC)クラスIを介してCD8陽性T細胞(細胞傷害性T細胞)に対して、MHCクラスIIを介してCD4陽性T細胞(ヘルパーT細胞)に対して抗原を提示することによって活性化する。樹状細胞は、従来型樹状細胞(cDC; conventional DC)と形質細胞様樹状細胞(pDC; plasmacytoid DC)に大別される。pDCはcDCに比べて抗原提示能は低いが、ウイルスなどの核酸に応答して大量のI型インターフェロンを産生することによって、主にウイルスに対する免疫応答を誘導する役割を持つ。