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薬学用語解説

Ⅰ型アレルギー

作成日: 2023年07月22日
更新日: 2024年03月01日
生物系薬学部会
© 公益社団法人日本薬学会

マスト細胞(肥満細胞)および好塩基球から一過性に炎症性メディエーターが放出されることにより惹起される病態。マスト細胞や好塩基球にはIgEの高親和性受容体であるFcεRIが発現しており、これらの細胞はIgEが結合した状態で生体内に分布している。生体内にIgEによって認識される抗原(アレルゲン)が侵入すると、IgEを介してFcεRIが架橋され、活性化したマスト細胞および好塩基球からエキソサイトーシスにより顆粒内容物が細胞外に放出される(脱顆粒)。また、アラキドン酸代謝物をはじめとする脂質メディエーターや、TNF-αに代表される炎症性サイトカインが産生される。これらのうち、ヒスタミンや血小板活性化因子(PAF)は、周辺組織における血管透過性の亢進、血管拡張を速やかに誘導し、浮腫や発赤、血圧低下を引き起こす。この応答が強く全身性に起こるものがアナフィラキシーショックであり、血圧や体温の急激な低下といった重篤な症状が引き起こされる。