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薬学用語解説

ケトン体

作成日: 2023年07月22日
更新日: 2024年03月01日
生物系薬学部会
© 公益社団法人日本薬学会

肝臓で脂肪酸の分解によって生成し、血液中に放出されるアセト酢酸、β-ヒドロキシ酪酸、アセトンの総称。特に、糖の供給や利用が制限されている飢餓や糖尿病の際に生成され、骨格筋、心臓、腎臓、脳などではケトン体からアセチルCoAへと変換されてエネルギー源となる。ただし、アセチルCoAに変換する酵素を持たない肝臓では利用できない。糖尿病などで、ケトン体の利用量に比べて産生が過剰になる状態をケトーシス(ketosis)と言い、特にアセト酢酸、β-ヒドロキシ酪酸の血中濃度の上昇によって血液のpHが低下する状態をケトアシドーシス(ketoacidosis)という。一般に、腎臓の障害がなければ、ケトン体は血中よりも尿中の濃度の方が高い。糖尿病患者の場合、尿ケトン体が陽性ならば管理状態は不良とされる。肥満者が絶食のような無理な食事制限をした場合や、健常人が激しい運動をした場合にも尿中ケトン体は陽性になる。