薬学用語解説
微小管
作成日: 2023年07月22日
更新日: 2024年03月01日
生物系薬学部会
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最も太い細胞骨格要素である微小管は、タンパク質のチューブリンを主成分とする枝分かれのない中空の管である。αチューブリンとβチューブリンが結合したヘテロニ量体が重合してプロトフィラメントをつくり、これが束になって微小管が出来る。中心体は、微小管が作り出される場所である。微小管は、中心体から細胞の周辺に向かって外向きに成長する。微小管には細胞の形を決め、分泌細胞などでは細胞小器官の運動を助ける働きがある。細胞分裂での染色体の移動や線毛や鞭毛のような特殊化した細胞突起の運動に関与する。コルヒチンやビンカアルカロイド系抗がん剤は微小管の伸長を阻害(重合阻害)し、タキサン系抗がん剤は解離を阻害(脱重合阻害)し、微小管を安定化する。いずれも微小管の不全をもたらし、細胞分裂を阻害する。