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薬学用語解説

T細胞

作成日: 2023年07月22日
更新日: 2023年12月27日
生物系薬学部会
© 公益社団法人日本薬学会

骨髄の造血幹細胞に由来し、胸腺内で分化、成熟するリンパ球の一種。一部は胸腺外でも分化する。末梢血リンパ球の60-80% を占める。成熟T細胞は細胞表面に二量体(αβ型またはγδ型)のT細胞レセプターを発現する。大部分(95%以上)のT細胞はαβ型レセプターをもち、血管、リンパ管によって循環しており、一部はリンパ節や脾臓などに集積する。γδ型レセプターをもつものは表皮や腸管に比較的多く分布する。T細胞の細胞膜上には、T細胞受容体・CD3複合体のほかT細胞に特異的な各種糖タンパク質が発現しており、これらはT細胞マーカーと総称される。なかでもMHCクラスⅡ分子の定常領域と結合するCD4分子とMHCクラスⅠ分子の定常領域と結合するCD8分子は特に重要で、成熟したT細胞のほとんどはいずれか一方を発現しており、ヘルパーT細胞はCD4を、キラーT細胞はCD8を発現する。ヘルパーT細胞は抗原刺激により各種サイトカインを産生してB細胞、キラーT細胞、マクロファージなどに働いて免疫反応の促進や増強を誘導する。キラーT細胞は、移植片、ウイルス感染細胞、主要細胞を認識してこれを傷害する活性を有している。