薬学用語解説
高密度リポタンパク質
作成日: 2023年07月22日
更新日: 2024年03月01日
生物系薬学部会
© 公益社団法人日本薬学会
血漿リポタンパク質の一つ。密度が 1.063~1.21 g/mLと高い血漿リポタンパク質を言う。アポリポタンパク質(A-I、A-II、C、E)の含量が約50%と多い。14~18%がコレステロールエステル、3~6%がトリグリセリド、20~30%がリン脂質である。ほかのリポタンパク質に比べリン脂質が大きな割合を占める。主に肝臓と小腸で合成され、原始型HDL として分泌される。血液中でLCAT の作用によりコレステロールエステルを増していく。HDL には末梢組織から余剰のコレステロールを引き抜きこれを肝臓に転送する作用があり、コレステロール逆輸送経路と呼ばれている。HDL 中で増加したコレステロールエステルは、コレステロールエステル輸送タンパク質(CETP) の働きにより、血液中でVLDLやLIDL に移行し、LDL受容体によって処理され肝臓に取り込まれる。したがってコレステロール逆輸送経路はまあ小組織より肝臓へとコレステロールを運搬する機能を果たすため、抗動脈硬化作用があると考えられる。