薬学用語解説
fused in sarcoma (FUS)
作成日: 2023年07月22日
更新日: 2023年12月28日
生物系薬学部会
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筋萎縮性側索硬化症(ALS)の原因遺伝子の1つであり、translocated in liposarcoma(TLS)とも呼ばれる。FUSタンパク質はFETファミリーに属するRNA結合タンパク質であり、N末側にグリシンやアルギニンに富むlow-complexity(LC)ドメイン、C末側にRNA結合ドメインを持つ。FUSは核と細胞質の両方に局在し、転写制御やRNAプロセッシングなど様々なプロセスに関わると考えられている。LCドメインは濃度に依存して可逆性のポリマー線維を形成し、ヒドロゲル状態へと相転移することが知られており、液液相分離による、膜を含まないオルガネラ形成を介した生理的なFUSの機能制御、さらにはALS患者の運動神経内において観察される異常FUS蓄積封入体形成や神経細胞死に関わることが示唆されている。