薬学用語解説
アミノ酸経路
作成日: 2023年07月22日
更新日: 2024年03月01日
生物系薬学部会
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アルカロイドなどの化合物で、その基本骨格に含まれる窒素がアミノ酸由来である場合、その生合成経路はアミノ酸経路と呼ばれる。生合成の出発物質は、オルニチン、リシン、チロシン、トリプトファンなど限られたアミノ酸であり、脂肪族アミノ酸であるオルニチンからトロパン骨格が構築され、副交感神経遮断作用を持つヒヨスチアミンやスコポラミン、麻薬であるコカインなどのトロパンアルカロイドが生成される。また、リシンを出発として駆虫薬のイソペレチエリンやマメ科クララに含まれているマトリンが生成される。一方、芳香族アミノ酸であるチロシンからはモルヒネなどのアヘンアルカロイドが、また、トリプトファンからはエルゴタミン、エルゴメトリンのようなバッカクアルカロイドや、変形モノテルペンであるセコロガニンとの縮合により降圧薬、鎮静薬のレセルピンや、抗不整脈薬のアジマリンなどが生成される。