薬学用語解説
細胞
作成日: 2023年07月22日
更新日: 2024年03月01日
生物系薬学部会
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外部環境を隔離する膜構造に囲まれ、内部に自己再生能を備えた遺伝情報とその発現機構をもつ生命の基本単位である。単細胞生物では細胞そのものが個体であるが、多細胞生物では細胞は組織の構成単位としてふるまう。細胞分裂静止期に膜で囲まれたまれた核をもつ細胞を真核細胞、もたない細胞を原核細胞という。遺伝情報を担う物質としては、DNAが共通に用いらる。DNAは原核細胞では細胞質に存在するが、真核細胞では核内に存在し、ヌクレオソーム構造を形成している。核内には、主にリボソームRNA合成の場として働く核小体がある。真核細胞の細胞膜に囲われた細胞質には、主にATPを供給するミトコンドリア、タンパク質合成に携わるリボソームや小胞体、分泌タンパク質の細胞内輸送と修飾に携わるゴルジ体、不要物質を分解するリソソームのほか、ペルオキシソームや葉緑体(植物細胞のみ)などの細胞小器官が存在している。細胞全体の形態は、微小管やマイクロフィラメントなど細胞骨格と呼ばれるタンパク質集合体によって保持されている。原核細胞や植物細胞では、細胞膜の外側に細胞壁があり、細胞形態の維持に役立っている。細胞を表す"cell"という言葉の由来は、17世紀、ロバート・フックがコルクの小片を観察し、多数の中空構造を小部屋を意味する"cell"と命名したのが始まりとされる。