薬学用語解説
メラトニン
作成日: 2023年07月22日
更新日: 2024年03月01日
生物系薬学部会
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N-アセチル-5-メトキシトリプタミン(N-acetyl-5-methoxytryptamine)の構造をもつ生理活性アミン誘導体であり、松果体で産生されるホルモンである。ヒトをはじめとする脊椎動物において、メラトニンの松果体及び血中濃度は昼間に低く夜に高いという明確な日内変動を示し、夜行性動物においても同様の変動を示す。その生理的作用として、睡眠覚醒サイクルなどの概日リズム調節に重要な役割を果たしていることが明らかにされている。ヒトの睡眠との関連においては、夜間の内因性メラトニン分泌の増加が眠気の始まりや睡眠傾向と一致していることが知られている。ヒトにおけるメラトニンの生理作用は、Gタンパク質共役型のMT1及びMT2受容体を介して働くと考えられている。「小児期の神経発達症に伴う入眠困難」への保険適用を持つ「メラトニン受容体作動性入眠改善剤」として、メラトベル (Melatobel)が2020年3月に本邦で承認された。