薬学用語解説
スポロゾイト
作成日: 2023年07月22日
更新日: 2024年03月01日
生物系薬学部会
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マラリアを引き起こす寄生虫であるマラリア原虫は、蚊とヒトとの間を交互に感染する生活環を持つ。その過程でマラリア原虫は様々に形態を変化させることが知られており、蚊からヒトへ感染する際の形態をスポロゾイトと呼ぶ。蚊の吸血時に唾液と共にヒトの皮膚内に注入されたスポロゾイトは、血管を通って肝細胞に感染後、赤血球感染型(メロゾイト)へと増殖分化する。肝細胞から放出されたメロゾイトは赤血球に感染、増殖を繰り返し、高熱などの症状を引き起こす。一部が性分化して生殖母体となり、ヒトが蚊に吸血された際にヒトから蚊へ伝播する。蚊の消化管内で生殖体が受精した後、消化管外に形成されたオーシストと呼ばれる袋状の構造内でスポロゾイトが成熟する。このスポロゾイトが唾液腺に侵入後、再び蚊の吸血時にヒトへ感染するという循環を示す。