薬学用語解説
胎児性Fc受容体
作成日: 2023年07月22日
更新日: 2024年03月01日
生物系薬学部会
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FcRn(胎児性Fc受容体)はMHCクラスⅠ分子と構造類似性をもつIgG Fc受容体であり、血漿中から細胞内に取り込まれたIgG抗体をライソソームによる分解から回避し、再び血漿中に汲み出すサルベージレセプターである。ヒトでは胎盤に存在し、母親のIgGを胎児に輸送するのに機能する。天然型のIgG抗体は、細胞内に取り込まれた後、エンドソーム内の酸性条件下でFcRnに結合することで細胞表面に移行する。細胞表面において、抗体は血漿中の中性条件下でFcRnから解離することにより血漿中にくみ出される。